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一日一冊、本を食う

長年の積ん読本を読み切るブログ

【021】杉村芳美『「良い仕事」の思想』1997年

実年サラリーマン(p.2)
dictionary.goo.ne.jp

「働きバチ」「働きアリ」というレッテルは欧米人によって貼られたものだ。よく働くが、ただ働くだけで楽しまない、個人を犠牲にして集団のために働くといった非難が含まれている。働いている時間は長いが、仕事をする密度は必ずしも濃くないという見方もある。

「勤勉」という言葉そのものが、何か古くさくて堅苦しい感じがし、敬遠されるようになっていると思われる。「働き者」というほめ言葉もほとんど耳にしなくなった。(p.3)

勤勉であることが望ましいと思われなくなれば、勤勉であることに関心もなくなり、勤勉であろうとすることもなくなろう。「日本人は勤勉か」と尋ねること自体意味を失うだろう。(p.4)

実際には、高度成長期を通じて労働時間は長いながらも減少傾向を示していた。//しかし石油ショック後の70年代半ばに底を打って以降、短縮傾向はストップし、以後80年代末まで横ばいの状態が続いた。//不況からの回復が遅れていた欧米諸国ではその時期にも労働時間の短縮が進み、日本との差が顕著になった。(p.4f.)

ふところが暖かくなったのにそれを使うための時間のゆとりがない、豊かになったはずなのにそれを実感できないという空気が広がった。//ここではじめてよく働くことと豊かであることとは背反する関係に立つことになった。//家族の課題と男の責任は、「養う」「食わせる」ことから消費や余暇の活動全般に広がった。//「家族のために」よく働くという働き方は、逆に家族のためにならないものとなった。「父親の権威」も急速に低下する。(p.5f.)

「会社に対する忠誠心」は、会社への貢献が個人に還元されてくるという一種の社会的交換システムに対する信頼の現れということができた。(p.7)